マリ共和国の中央部モプティの東、車でおおよそ2時間ほどのところに高さ300m、長さ200km以上にわたって続くバンディアガラの断崖があります。断崖沿いには約700の村が点在し、約25万人が住み、多様な文化、言語、民族が存在しています。
Google Earthで見るDogon (映像-左右、上下真ん中辺り)
都会から隔たれた村の殆どには電気も水道もなく、携帯電話も通じません。水は少なく、耕土に適する土地も少ないドゴンでは乾燥に強いミレット(トウジンビエ、粟など雑穀)や玉ねぎが作られ、特に玉ねぎは換金作物としてバマコなどに送られます。
ドゴンの人々は神話を今に生きる人々です。イスラム教やキリスト教に改宗する人々が増え、外国人ツーリストの与える影響も大きいでしょう。しかし彼らの精神世界は神話にあり、例え改宗しても神話は心と生活の中で生き続け伝統は守られています。
崖の東側はところどころ潅木が点在する乾燥した大地が広がっています。崖から少し離れた所にサハラの風が運ぶ砂でできた小高い丘陵が出現しました。1913年の大旱魃では多くの人が亡くなり、砂漠化は今なお進行、ますます厳しい環境になっています。
しかし、日本から見ればこの「辺境の地」とも言えるドゴンにおいて、彼らのつつましく生き生きした生活は続き、子供達の笑い声が、ドンキーの声が今日も崖に響き渡っています。ドゴン人の性格を表す言葉として「勤勉」「忍耐強さ」「正直」などがあげられると思いますが、私はドゴンの人々の幸せが永遠に続くことを願ってやみません。